Medicine of company 04
会社の医学 経営の基本
会社が倒産する場合、必ず、その原因となる「失敗」があります。逆に、失敗をしなければ、倒産することはありません。それが、会社が存続するための方法です。
これに対して、経営者の中には、商売は「リスク」を負うから「儲け」が生まれるのであって、そのような「失敗をしないことが勝つ方法」といった、後ろ向きの発想は間違っていると言う人もいるかもしれません。
しかし、それは誤解です。
つまり、「リスク」を取ってはいけないということではありません。
「リスク」をとるということは、会社にとって大事なことであり、その成否によっては、倒産に至る可能性もあります。
したがって「リスク」をとるかどうかは慎重に検討して、大きな「失敗」をしないようにすることが重要なのです。
特に軽率な経営者は、「いいものをつくれば売れる」「この商品(サービス)はきっと売れるはずだ」と主観的な根拠のみで経営判断をする傾向がありますが、そうではなく、「本当に顧客が求めているものなのか」というマーケットから見た客観的な視点を持たなくてはなりません。
経営者は、競合する企業に勝つためには、次の点について十分に留意しなければいけません。
まず1点目は、経営者と社員が心を一つにして商売を行っているかです。
会社全体として同じ目標や同じ価値観で動くことができれば、100%以上の力を発揮することができますが、社内の統率がとれていなければ、烏合の衆に過ぎません。
2点目は、勝負を挑むに際して周囲の環境が自社にとって有利か不利かを見極めることです。
例えば市場縮小の業界に新たに挑戦しても成功する確率は低いですが、拡大傾向にあり競合の少ない業界であれば成功する確率は高まります。
3点目は、立地など企業の活動拠点が自社の戦略にとって有利か不利か見極めることです。
地域密着戦略なのか広域展開戦略なのかは、事業内容によっても異なりますが、成長企業がエリアを拡大した途端に経営悪化に陥ることはよくあることです。
4点目は、自社の経営幹部や社内リーダーの資質を見極めることです。
彼らに求められるのは、智謀、信義、部下への思いやり、挑戦心、公平さです。必要に応じて、彼らを教育することも、経営者の重要な役割です。
5点目は、組織体制が経営者の意思を効率的かつ迅速に反映できる構造になっているかです。
どんなに優れた経営方針でも、それが末端の社員にまで伝わらなければ、絵に描いた餅です。自分の指を動かすがごとく末端の社員まで動かしてこそ、経営方針が100%活きてくるのです。
皆さんは、「必ず負けるとわかっている」相手と喧嘩をするでしょうか。
「負けるとわかっていても戦わなければいけないときもある」と勇ましいことをいう人もいるかもしれませんが、そういうタイプの人は経営者には向いていません。
経営者には、無意味な勇気は必要ありません。
必要なのは、「冷静に状況を判断する力」です。
商売は、これをやれば必ず儲かるという絶対基準はありません。もしそうだとすれば、みんなが儲かるはずです。
商売で利潤を得る条件は、自社が競合他社よりも優れているかどうかという相対基準です。したがって、経営者の状況判断とは、自社が他社よりも優れているかどうかを冷静に分析することです。
比較のポイントを簡単に言うと、次の通りです。
ライバル企業と比べて…
逆にいえば、それらを他社よりも優れている状況にまで高める努力をしなければいけないということです。 経営者は負ける戦いをしてはいけないのです。
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